風惑星の侵略地〜ポポロクロイス物語攻略〜


 再会のヒュウ   投稿者:亞音森 陶酔 2006/07/04 00:20 No.276 
再会のヒュウ


1 屋上での会話
20××年7月22日
おれは今学校の屋上で健太郎と昼食のパンを食っているが、昨日最終話まで鑑賞し終えたポポロクロイス物語の事が頭から離れない。したがって昼食の間もパンを食いながらずっとヒュウのこと考えている。
健太郎「おい!大丈夫か?お前さっきからボーとしていておかしいぞ。」
「え。大丈夫、大丈夫。」
健太郎はおれと同級生で割と仲のよい友達だ。大柄な体系だが世話付きでお人好し、野球のポジションで例えるならキャッチャーといったところか。
今のおれの心境を健太郎に話す気にはなれない。
おれはしばらく遠くの景色を眺る。
すると風が吹いておれの髪の毛は若干ゆれた。
「ヒュウが笑っているのだろうか…」
健太郎「ん。」
「いや、なんでもない。」

2新聞
学校を終えたおれはいつものようにコンビニエンスストアで夕食を買い込んだ後に帰宅した。テーブルの前には今日の夕刊がおかれている。おれは新聞を手にとりテレビ欄に目を通す。ふと新聞を裏返すと大手電気メーカZonyの記事が目に飛び込んだ。
「Zonyハ従来ノゲームノ常識ヲ覆ス次世代機ESVノ開発ニ成功。コレハ脳内ニ微弱ナ電気信号ヲ送リ込ムコトニヨッテ仮想現実的プレーヲ可能タラシメル画期的ナモノ。Zonyハコノ次世代機ヲ使ッテ、ZCEノレトロゲームデアルポポロクロイス物語ノ開発ニ着手シタ。ゲームノテストプレーヤーハ一般人カラ葉書ニヨル抽選デキメラレル予定。」
おれはこの記事を読んで震えた。どうやらこの記事さらに詳しく読むと、開発されるゲームの内容はポポロクロイスの中でもピエトロの物語に焦点を当てるらしい。(ヒュウにあえるかもしれない!)おれはこのチャンスを確実につかみ取る為、毎日のように葉書を送り続けた。送った葉書の総数はついに2千枚を超えた。その熱意が通じたのか、ある日学校から帰宅してポストを覗くと当選の通知が届いていた。おれは喜びに震え上がった。

3ZCE社
一年後
おれはとうとうこの日を迎えた。
当日はZCE社の本社に呼ばれたのでおれは新幹線で東京を目指した。東京の都心ともなると狭くてごみごみしているものだと勝手に予想していたが、オフィス街の道路は意外にも広々としていた。社に到着すると、しゃれた眼鏡をかけた気さくそうな男がおれを出迎えた。本名は山杉真之介。どうやらこの人物も今回のゲームの開発に携わっているらしい。
山杉「やあ、君東京は初めてかい?」
「あ、はい。」
山杉「東京は広いだろうから結構みちに迷ったろう。まあとにかくゲームを体験する前に色々と質問があるだろうから僕がその質問に答えるよ。ネタばれにならない程度ににね。」
おれは山杉に例のゲーム機がおかれている部屋へ向かう途中にいくらか話をした。
その話の中で山杉から、今回やるゲームのプレイ時間は約60時間程度のもので、その間中ずっとトイレにいけないので注意が必要だ、ということをいわれた。(これで当日の24時間前からは飲食禁止という葉書の注意書きの意味が解明した。)
ほかにもいくらか質問はあったが、山杉は「細かいことはゲームの中で教えてくれるさ。従来のゲームも説明書を見なくたって村人たちが色々教えてくれただろ。それにこれはゲームというよりは寧ろバーチャルなアニメーションだから心配は要らない。」といったようなことを述べた。
目的の部屋に到着すると部屋の中には何人か人がいた。部屋の真ん中には椅子があり、その上には機械仕掛けの帽子のようなものが吊るされている。この帽子の様な機械の正式名称はESV。だがしかし開発者の間ではpocketとも呼ばれているらしい。なんでも現実世界と仮想世界の仕切り(pocket)の役目をはたしているからなのだそうだ。
山杉「君は確かレトロなゲームや映画が好きだといっていたよね。」
「あ、はい。」
山杉「じゃあマチュリクスをしっているだろ。原理は大体あれと同じさ。けど首に直接プラグを差し込む必要はない。その代わりに帽子を被るのさ。」
おれをは内心ほっとした。
山杉「さっそく突入するから準備を始めてくれ。あ、そうだ。僕たちは君の様子を随時モニターで伺っているけど、もし困った事があったら向こうの世界で手でも挙げてくれ。そうすればどこからともなく電話を現れるだろう。電話番号は1000−10−0だ。」
「えっ、はい。」
おれは他にいくらか指示をうけ、ゲームの世界へ突入すべく例の帽子を被らされた。
山杉「準備はいいかい?」
と山杉はいいながら返事も待たずにゲーム突入の為のスイッチをおした。

※山杉は(お笑いでない方の)声優の山ちゃんをイメージしています。
 ESVのEはエンジョイのEです。他にもいくつかあるので推理してみて下さい。


4別世界
ドン!
強い衝撃が体中を駆け抜けた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
波の音がかすかに聞こえる・ ・ ・ ・ ・ ・
(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 海岸?)
(視界は・ ・ ・ ・ ・真っ赤だ!)
いや、実際には太陽光線を透かした自分の瞼を見ているのだ、ということに気づきそっと目を見開いた。正面には木の壁と窓があり、窓の外は広々とした海が広がっている。どうやらここは海岸沿いに建てられた小屋らしい。それにしてもこの世界に突入する際の衝撃は後々で改善するように忠告しないといけないな。
ふと視線を左にそらすとそこには外への扉があり、その横に大きな鏡が置いてある。・ ・ ・あっ、おれはゆっくり鏡に近づく。
!! そこには白髪の少年の姿が写っていた。髪がヤシの実の葉のようにボサボサしたところ以外は大体ピエトロに似た少年である。
「おお・ ・ ・ ・」
と思わず発した声を聞いたときにまた驚いた。声もまた自分のものではなく何処かで聞いたことのあるものであった。そうだ!ポポロクロイスTのピエトロの声だ。ただ声は大人びたものではあるが。とにかくおれはこの事実に喜びを感じ、意気揚々としながら扉を開け外へでた。やはり外は海岸だった。空を見ると雲が流れている。
「んーやはりここら辺は海岸かー」わざと声を発してみる。
「しかしおそらくここいらにポポロクロイス城があるはずなのだが・・そうだここは多分ゲームにも存在するポポロクロイス城に近い浜辺のじいさんの家らへんだ!」
「となるとポポロクロイス城はあっちだから・・」
おれは海とは逆方向を眺めた。すると木々の生えた陸地があり、その木々の間からはポポロクロイス城であろう建物の一部を垣間見ることができた。
おれは一目散にその方角へ駆けていった。

5ポポロクロイス
おれは今ポポロクロイス城へと通じる道を駆けている。
この世界での時間は・・おそらく正午あたりだろう。
海岸から城までの距離はそう遠くなく、5分も走ればポポロクロイス城下町にたどり着くことができた。
(城下町は四方をへいで囲まれている、ゲームの城下町を再現しているのか・・)
厳密には城下町の入り口の向かって右側にドン、ゴンの家らしき建物が建っているためポポロクロイス2の城下町だ。          
おれはポポロクロイス城下町内に足を踏み入れた。城下町の人は物珍しそうにおれに目を向けている。
「あ、あのう、ピエトロ王子は何処にいるんでしょうか。」
村人「ピエトロ王子ならポポロクロイス城にいるんじゃないか。」
(それもそうか・・)
「ありがとうございます。」
おれはとにかくピエトロに会いたいがため、はやる気持ちでポポロクロイス城へと走った。
しばらく走ると竜の石造の噴水が見え始め、そのまわりには井戸端会議をしているおばさん達がいた。
(この先だ・・)
噴水を超えるとその先には橋がある。橋からは、今まで建物の影になって見えなかった、湖の上に建つポポロクロイス城全体を眺めることができた。
(そごい。)
しばらくおれは湖に浮かぶポポロクイス城の光景に心を奪われていた。
「・・そうだ・・ピエトロはどこだろう・・」
ピエトロに会うべくポポロクロイス城の入り口まで進んだ。門番はいなかったので城内に足を踏み入れた。
城の中にはお手伝いさんやら兵士やらがいた。彼らはおれを見て別段不信な目を向ける分けでもなく、おのおの仕事に精を出していた。おれは城の一階や地下など見物し終えた後二階へ向かった。二階の王の間はさすがに兵士が道を塞いでいた。おれはポポロクロイス地方を見聞する為に遥か遠い国から来た旅のものであり、国王に挨拶をしたいといった主意のことを兵士に告げ、国王との面会が許された。
パウロ国王「わざわざ遠い所からご苦労じゃったな。どうじゃったかの、この国の感想は。」
おれは橋から見た城の美しかったことなどを伝えると、その後にピエトロ王子にも一度会ってみたいことを付け加えた。
パウロ国王「ピエトロは今旅の相談をしに隣町のタキネンにいる。もうじき戻ってくるじゃろうからそれまでピエトロの部屋にでもいて待っていなさい。」


6ピエトロ
ピエトロが戻ってくるまでピエトロの部屋で待つことになった。なんだか田舎で久しぶりの親戚にでも会うような気恥ずかしい心境である。おれはそわそわしながら王の間へと通じる階段を見下したり、ピエトロの部屋のバルコニーから外を眺めたりしていた。
(何から何までゲームの中のデザインを忠実に再現しているなぁ・・。あ、そういえばコレクションの置かれている秘密の部屋なんかもあるのだろうか。)
そう思って本棚を調べようと思ったとき、にわかに下からだれかしら声が聞こえてきた。よく通る声・・ピエトロだ!声はポポロウロイスUのものだった。ピエトロはパウロとの会話を終え階段を駆け登ってくる。
(速い!ピエトロは城内を移動するときも常に全速力なのか!?)
おれはピエトロを出迎える心の準備が整っていなかった為、とりあえず本棚のあたりに目を泳がせていた。
ピエトロ「えっと、こんにちは、旅の者と聞きましたが。」
「あ、ああ。ポポロクロイスがどんな所か興味があってね。それに数々の武勇伝を持つピエトロ王子にも一度会ってみたくて・・。」
ピエトロ「そ・・、そうですかぁ。」
「・ ・ ・ ・ ・」
ピエトロ「・ ・ ・ ・」
ピエトロ「あのう・・名前はなんというんですか?」
「ハク」
「そうだ、さっきから気になっていたんだけどその船の模型どこで手に入れたの?」
ピエトロ「あ、これはパーセラで手に入れたんだよ。お土産をコレクションするのが趣味なんだ。秘密の部屋にはもっとあるよ。」

ピエトロは本棚の横にある秘密の入り口におれを案内した。
部屋の中にはいくつもの模型やらペナントやらといった類のものが置かれている。
ピエトロ「旅先で買ったんだ、見てごらんよ。」
ピエトロはそう言っておれに何か模型のようなものを手渡した。おれは、そのコレクションを半分は純粋な好奇心から真剣に見つめ、もう半分は演技で真剣に見つめる様なふりをしていた。というのもピエトロと会う前にパウロ国王が次のような事を述べていたからである。
(パウロ「ピエトロは今までの旅でたくさんの仲間達と出会ってきたんじゃが・・、同じ年頃の男友達というのは初めてなんで仲良くしてやってくれんかの。」)
なるほど確かにピエトロが出会った仲間たちは・ ・ ・例えば白騎士やガミガミなどは同性であっても年が離れすぎている。かといって同い年のナルシアやジルバ、ヒュウなどは異性がゆえにピエトロに対し友達以上の感情を抱いてしまっている。よくよく考えるとピエトロには仲間と呼べる者はいるが、友達と呼べる者は一人もいないのかもしれない。
コレクションにしても、たとえピエトロがナルシアに模型やらペナントやらについて熱心に説明した所で手応えのある反応を得られなかったに違いない。そんなわけでおれはピエトロのコレクションを真剣に見つめ、ピエトロと同調するよう努力した。その甲斐あってかピエトロは意気揚々と自分のコレクションについて語りだした。おれはなんだか微笑ましいものを心の内に感じた。コレクションを鑑賞し終えた後、ピエトロとおれは湖で泳いだり草原を駆け巡ったりした。

そして夕方・ ・ ・おれは山杉から一日目は城下町の宿屋に泊まるよう言われていた為、ひとまずピエトロに別れの挨拶を告げた。
「じゃあ、また明日。」
ピエトロ「あ、ハク・ ・僕、実は明日から旅にでなければならないんだ・・。」
「旅?」
ピエトロ「そう、ペストドラゴン(黒死竜)を封印する旅に・ ・ナルシアといっしょに旅をする予定なんだけど・・ハクもこない。」
「え、ああ、もちろんいくよ。」

※マチュリクスがマチュリクスなのは・・未来ではカタカナの言葉も元の発音に近づけてるからと考えてください。
つまり「ワット タイム イズイット ナウ」が「ホッタイモイジンナ」になるようなものです。



7ギルダの話
ペストドラゴン・ ・ ・それはかつてのマイラのように心を闇に魅入られ、悪しき者へと変えられてしまった竜。以前はホーリードラゴンと呼ばれ、あらゆる生物に生命力を与える「生」の象徴であった。しかしペストドラゴンとなった後は、生物の生命力を衰えさせる「死」象徴として恐れられるようになる。このペストドラゴンはいずれポポロクロイス地方に襲来し災いを起こすであろう。そこでこの災いからポポロクロイスを救う為にピエトロは今旅立とうとしているのだ。そしておれもいっしょに旅立つ事になった。どうやらこのペストドラゴンをどうにかするのが今回のゲームの目的らしい。

突入二日目 朝
今おれはポポロクロイス城下町の入り口付近でピエトロと待ち合わせをしている。服のポケットを適当に探っていたら、お金らしきものが出てきたので旅に出る前にそのお金で品物をいくつか購入した。具体的には、モンスターを倒すための短剣、回復の為の薬草、MP回復の為の飴、暇つぶしの為の遊具などである。しばらくするとピエトロが城の方角から走ってくるのが見えた。
ピエトロ「やあ、遅れてごめん。」
「いや、それよりこれからどうするんだい。」
ピエトロ「詳しい事はこれからタキネン村へいってギルダさんに話を伺うんだ。」
「よし、それじゃとりあえずタキネンにいくとするか。」

タキネン村ギルダの館前
(ここがギルダの館か…)
ピエトロ「ギルダさーん!」
ピエトロが叫んだ後、しばらくして扉が開いた。
ギルダ「ピエトロかい、随分遅かったねぇ。あたしゃ待ちくたびれちゃったよ。」
ピエトロ「すみません。」
ギルダ「おや?それよりピエトロ、だれだいその隣にいる白い少年は・・」
ピエトロ「あ、この人は昨日たまたまポポロクロイスに訪れた旅のもので・・いっしょに旅することになったんです。」
ギルダ「んー旅のものねぇ・ ・ ・。もしイルスの予言が正しいのなら、これはひょっとするとただの偶然じゃあないのかもしれないよぉ。」
ピエトロ「え?」
(イルスの予言?)
ギルダ「まあとりあえず中へお入り。ペストドラゴンの事について話してあげるよ。」

この後館内でギルダからペストドラゴンについてより詳しい話を聞いた。ギルダの話によると、ペストドラゴンはかつてあらゆる生物にとっての生命力の源であった為、変わり果てた竜を倒したり封印してしまったりした場合、地上の生物は死滅してしまうらしい。したがってこれからおれ達のすべき事は、どうにかしてそのペストドラゴンの邪心を取り除きもとのよい竜に戻してあげる事なのだという。また、イルスの預言というものによると、その為にもまずはペストドラゴンの住む洞窟(どうやらゴドリフ村をさらに北方に進んだ所らしいのだが・ ・ ・)の中途にある風の谷に赴く必要があるらしい。ん?風の谷?・・
風・・ヒュウ?!

8旅立ち
おれとピエトロとナルシアはギルダの話を聞いた後、すぐ目的地へと出発することにした。
おれ達はタキネンから一度ポポロクロイス城下町に戻り、そこからまた目的地を目指し今はポポロ草原を歩いている。並び順は、先頭がピエトロ、その後ろにナルシア、最後におれが後ろから付いていくというスタイルに自然となった。やはりピエトロとナルシアは仲が良い。歩いている間でも二人は別段話すようなこともないのだが、互いに互いを意識し続けている。勿論二人はたまにおれに話かけるのだが、それはおれに疎外感を感じさせない為の配慮からであろう。白騎士もこんな状況だったのであろうか。
草原を歩き続けてしばらくすると急に周りがゴソゴソいい始めた。
(なんだ、なんだ!)
草むらから何かが飛び出してくる。
!?モンスターか!
隣にいるピエトロとナルシアに目を向けるとすでに剣と杖を構えている。さすがに戦い馴れているようだ。ナルシアは何やら呪文を唱え始め、それと同時にピエトロはモンスターへ向かって走り出す。
(お、おれは・・どうする!魔法はどうやって使うか知らないし…あ!そういえば剣を買ったっけ!)
おれは剣を取り出した。がその時既にピエトロはモンスターに助走をつけて大きなダメージを与えていた。
(あ、ちょっ。)
続けざまにナルシアの唱え終えた呪文(ウインドシェード)がモンスターにダメージを与え、モンスターは光と共に消え去った。
戦闘は終了。しかしおれの出番はなかった。

ピエトロ「ふう、大丈夫?」
「あ、ああ」
(それにしても戦闘方法については山杉達から何も教わっていなかったなぁ。せめて魔法の使い方だけでも教わっておくか。)
おれは手を空高く挙げた。
(これで電話を呼び出し山杉と連絡が取れるはずだ。)
しばらくすると自分のいる場所から少し離れた所に電話が現れた。
周りが草原の中でぽつんと公衆電話がたっているのは異様な光景だ。
「ちょっと待っててくれ。」
おれはピエトロ達にそう告げると電話に向かって駆けただした。
(確か番号は1000−10−0だったけかな。)
プルルル プルルル ガチャ
山杉「やあ、どうしたんだい?」
電話の向こうから山杉の声が聞こえてくる。
「あのー。いきなりなんだけどぉ・・おれって魔法は使えるんですか?」
山杉「使えるよ。ヒールウォーター、ライトニング、ファイヤーボール、アタックレイズの四つをね。唱えるにはその呪文の名前を呼べばいい。」
「あ、なんだそれでいいのか。あと戦闘のやり方についても詳しく教えてもらえませんか。」
山杉「いやー、・・戦闘のやり方なんてもんは戦ってくうちに発見していくものじゃあないかと僕は思うんだ・・。戦闘で得る経験値ってのも本来はそのようなことを意味するんじゃあないかなぁー。だから君も実戦で経験値を貯めて戦闘方法を覚えていきなよ。」
どうやら山杉は長々とした説明が苦手らしい。おれはしかたなく受話器を降ろした。
(まぁ魔法が使えるだけでもいいか。しかし電話はしらけるからなるべく使わないでおこう。)
その後おれ達は風の谷に到着するまで幾度か敵に遭遇した。だが何度か戦っていくうちにおれも戦闘に馴れて活躍できるようになった。おれはよく魔法を使って敵を倒した。とくにライトニングはおれ好みであったのでよく唱えた。そして風の谷へ・・。

「この森を抜ければ風の谷のはずだが・・あっあれか?!」

※亜音森陶酔の陶酔、冬水でもいいかなぁと思ったのですがちょっと自嘲っぽいところが気に入ったので陶酔にしました。

9風の谷
森を抜けたその先には周りを谷で覆われた巨大な湖があり、湖の辺には草が生い茂っている。そしてその辺らへんには何やら遊牧民族のケルトの様な大きめのテントが建っているのが見える。
(ここが風の谷か・・)
「よし、行ってみよう。」
ピエトロ 「うん。」
いまいる森の外れから辺までは緩やかな坂になっていたので、おれ達はその坂を活きよいよく駆け下りていった。近づくにつれて何人か人がいるのが見えてきた。
(服装からして・・やはり風族か!)
辺に到着する間にその風族らしき人々はおれ達のことに気づいたらしく、皆がおれ達を見つめだす。到着するとおれ達は全員に見つめられていた。
ピエトロ「え、えっとー」
男「ペストドラゴンを救うために旅立った者達ですね。」
ピエトロ「あ、はい・・」
男「すべてはイルスの預言書に記されていたことです。あなた方三人が訪れることもわかっておりました。我々はこの日の為にこの世界に再び現れたのです・・。ピエトロ王子。」
ピエトロ「どうして僕の名前を・・あ、もしかしてあなたは・・」
目付け頭「お久しぶりです王子。まあここで話すのもなんなので中で詳しい話をしましょう。どうぞ。」

おれ達はテントの中へ入った。中にはテーブルと椅子が四つ置かれている。後から判明したことなのだが、これらは全て近くのゴドリフ村の住民から借りてきたものらしい。おれ達はとにかくその椅子に腰をかけた。目付け頭は早速本題に入る。
目付け頭「先程イルスの預言書といいましたけど、これはペストドラゴンの出没から始まり、そのペストドラゴンをいかに救済するかまでを事細かに記した書物なのです。」
(山杉風に言うとネタばれな書物だな・・。)
目付け頭「ペストドラゴンは心を闇に魅入られた、哀れむべき竜。この竜の救済には五族の強大な力が必要とされる。そう記されておりました。五族とはこの場合神族、竜族、妖精族、人族、そして風族のことを意味します。ピエトロ王子は獅子王の息子でありながら老竜神の孫でもある為、竜族と人族の強力な力を持ち合わせています。ナルシアさんも妖精王の娘なので妖精族の強力な力を持ち合わせていることでしょう。そして我々も強力な風の力を持ち合わせた者を連れてこの世界に来ました。」
「ちゃっとまってくれよ。それじゃあ一つ足りない。神族の力が足りないじゃないか。」
目付け頭「・・預言によりますと白髪の少年が神族であると書かれていましたが・・。あなたではないのですか。」
(そうか、言われてみれば自分が何族かなんて聞いてなかった。ただ漠然と人族なのではないかと思っていたのだが。そうか、おれは神族なのか・・。)
目付け頭「しかし懐かしいものでしょう。時の旅をしてきた我々にとってあなた達に会うのはたかが一年ぶりぐらいのことですが・・、あなた達にとっては五年も前の話になるのですから。彼女と会うのは。」
ピエトロ「目付け頭さん・・彼女ってもしかして・・」
目付け頭「そうです。ヒュウのことです。」
(きた!)

10ヒュウ

サンダ「ストン。ヒュウ様さっきからずっとこんな所に立ち続けてどうしちゃったのかなぁ?ピエトロ王子はもうとっくにこの池の辺に来てるらしいのに。」
ストン「バカ、サンダ!ヒュウ様はこの一年間来る日も来る日もピエトロのことを想い続けていたんだぞぉ!・・それでいざ会うことになってみろよ・・恥ずかしがってるんだよ、柄にもなく・・。」
ヒュウ「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ストン。」
ストン「あ〜嘘です嘘です!聞こえてらしたんですか〜ヒュウ様〜。」
ヒュウ「私達がピエトロに会うのは一年ぶりのことだけど・・ピエトロにとっては五年ぶりなのよね・・。」
ストン「え?あ〜そうらしいですよ。何せオイラ達は時を超越した旅をしていますんで・・。」
ヒュウ「五年後のピエトロ・・」

目付け頭からの話だと、ヒュウはおれ達の訪れるちょっと前に湖を囲む谷の頂上へ向かって飛んでいったらしい。したがって、おれ達は今ヒュウに会うべくその谷の頂上を目指し歩いている。しかしどうしたものか。どんな風に言葉を交わせば良いものか。いざ会うとなると腰が引けてくる。ピエトロも五年ぶりらしいので再会がぎこちないものになりはしないのだろうか。・・ん?まてよ。五年ぶり・・ということは・・ヒュウはいきなり成長しきったピエトロに会うことになるのか・・。これはまずい。ただでさえ10才のあのピエトロに激しく心を奪われていたヒュウだ。成長しきった、このおれでさえ魅力を感じ得るピエトロに再会することになったらどうなるであろうか。想像は容易につく。ヒュウがピエトロの虜になり、他の何者も目につかなくなってしまうに違いない。はて、・・どうしたものか・・。
そんなことを考えているうちにいつのまにか頂上についてしまった。
ナルシア「頂上へついたけどぉ。ヒュウが見当たらないわ。」
ピエトロ「うーん。そうだ!みんなで手分けして探してみよう。」
ナルシア「そうね、そうしましょう。」
ということでおれ達はヒュウを見つけるべく丘の周辺を歩き回った。おれは心なしか小走りになって首をキョロキョロさせながらヒュウを探した。するとしばらく経ってから崖のあたりに青い人影があるのを発見した。
(ヒュウだ!間違いない。)
おれはその場所へ向かって走り出した。

※ヒュウの法則
 小説を書いていて思ったのですが、ヒュウは殆んどの人を呼び捨てで呼んで、呼び捨てにできない人の名前はなるべく呼ばないようにしている、ということを発見しました。(風族のポリシーなのだろうか。)

11対面
ストン「全く、あのわがまま娘はいつになったら動き出すのやら・・。」
サンダ「僕お腹すいちゃったよ〜。辺に帰りたいよ〜ストン。」
ストン「知るか!ヒュウ様に聞け!・・ん!」
サンダ「どうしたのぉストン?」
ストン「だれかがこっちに近づいてくるぞ・・。白い髪の少年が・・。」

「フー。」
ストン「おい!お前!いったい誰だ!何の用だ!」
みるとヒュウも怪訝そうな目でおれを見つめている。
「えっと〜イルスの預言の。いっしょに旅をすることになったものなんだけど。」
ヒュウ「イルスの預言!?じゃあ、あなたもペストドラゴンを救済するのに選ばれた使者の一人なの?」
サンダ「何〜!こんな奴がか〜?」
「あ、ああ。それでー。」
ピエトロ「ヒュウ〜〜〜〜!」
ヒュウ「ぁぁ!・ ・ ・ ・
ピエトロ「ふ〜〜。久しぶりだね。ヒュウ。」
ヒュウ「ピエトロ・・」
ああ、もう既にヒュウの目にはピエトロしか映っていなかった。

おれ達はヒュウを見つけた後、共に谷を下って辺に戻った。時刻は昼食の頃合いだった為、辺の皆は食事を作る準備に取掛かかっていた。
目付け頭「ヒュウ様が見つかりましたか。これで救済の為の四人が揃いましたね。旅についての話は後にして、今はとりあえず昼食の準備を整えましょう。今日の昼食は肉野菜のスープですので食材を切るのと、火をおこす薪を調達するのを手伝って下さい。・・そうですねぇ、それじゃあ王子とナルシアさんには食材を切るのを手伝ってもらいましょうか。申し訳ありませんが、後の二人は薪を拾いにいってください。」
そんなこんなでおれは幸いにもヒュウと薪を拾いにいくこととなった。
薪が落ちている場所といえばおれ達が先程通過したゴドリフの森あたりが適当であろう。
ヒュウ「ストン、サンダ。私は薪を集めてくるから食事の準備頼んだわよ。」
ストン「はい!わかりました!」
「それじゃあ、行くか。」
そういって後ろを振り返りもせずに歩き出した。どうもさっきからおれはヒュウに対しそっけない態度をとり続けてしまっている。人は好きな相手にはわざと冷たくしてしまうものだ、というのはよくいわれることだが、今のおれはまさにそのような言葉に促した行動をとっている。おそらく、自ら相手を突き放すことによって、相手に自分の価値をより高く評価してもらおうという下心が働いているからに違いない。よく商売人が品物を売るときに、「買い手は他にもたくさんいるから」などといって敢えて客に品物を強要させないのに似ている。しかしそんなおれの演出もあまり効果を発揮しなかったらしい。ヒュウは目的のゴドリフの森に着くと、薪を集めながら次のようなことをおれに質問した。
ヒュウ「はぁ・・、あなたはピエトロとこれまで旅をしてきたのよね。」
「ああ、ほんの少しの間だけど・」
ヒュウ「ピエトロ・・私のことについて何かいってなかった?」
「・ ・ ・ ・会うのが楽しみだ、とかいってた様な気がする。」
ヒュウ「ピエトロ・・一年前とはまるで違ってすごく頼りになりそう。」
「それは同感だ。」
ヒュウ「ピエトロ・・」

その後おれ達は辺に戻り、とってきた薪を使って火を炊き昼食を完成させた。食事をとりながら目付頭はペストドラゴンの救済についての話をした。話はだいたい今朝ギルダから聞いたものと一致していた。とにかくペストドラゴンは倒さずに救済しなけらばならなく、その救済には選ばれた五族の力を合わせる必要があるのらしい。また、ペストドラゴンはこの湖からさらに北へ向かった先にそびえる山の洞窟に住んでいるらしく、その洞窟までは多少距離があるので出発は明日になった。おれたちは目付け頭の話を聞いた後、湖の辺周辺で遊んだ。ヒュウの目線はよくピエトロの方へ注がれていた。

12告白
半日中遊び回っていた三人はさすがに遊び疲れたらしく、夕食を終えた後に例のケルトのようなテントのなかで睡眠の準備を整えていた。外はもう随分暗い。おれは外で焚き火をしながら地面に座り込んでいた。中から話し声が聞こえてくる。

ナルシア「明日いよいよペストドラゴンを救済するのね。」
ピエトロ「ペストドラゴン・・どんあ竜なんだろうか・・僕たちに救済することができるのかなぁ。」
ナルシア「ハクは、ペストドラゴン救済できるんじゃないかっていってたわよ。」
ヒュウ「ねえ、あの人強いの?」
ピエトロ「うん。ハクはいろんな魔法を使って助けてくれるよ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・

おれは焚き火を消した後、湖周辺の人気のないあたりまで移動して手を上に高くかざした。少し離れた場所に電話が現れる。受話器を手にして例の番号を押した。
プルルル、プルルル、ガチャ
山杉「はい、こちら山杉。どうしたんだいこんな夜遅くに?」
「・ ・ ・頼みたいことがあるんです・ ・ ・」
山杉「何だい?」
「ヒュウが・・ピエトロばかりを気にしている。もっとおれに目を向かせて欲しい。」
山杉「え?つまり設定を変えるってことかい?でもそれはよくないと思うよ。」
「でも、できるんでしょう。」
(おれは半分やけになっていた。)
山杉「き、君・ ・ ・ ・ ・。」
(山杉は呼吸を整える。)
山杉「・・ヒュウだけは無理なんだよ。」
珍しく山杉は長々と説明し始めた。
山杉「いいかい、今君のいる世界には大きく分けて三つの種類の人間がいる。」
(人の幸福をみて幸福になる者、人の不幸をみて幸福になる者、そのどちらでもない者、とでもいいだすのであろうか。)
山杉「・・一つは機械のプログラムによって会話をする人間。このゲームのほとんどの登場人物がそのタイプの人間だ。二つ目は、君のように現実世界からそちらの世界にやってきた本物の人間で、かつ自分が外の世界からやって来たことを知っている人間。そして、三つ目は・・君のように本物の人間であることには変わりがないが、初めからそちらの世界で育った現実の世界を知らない人間だ。つまりその三番目の人間がヒュウなんだよ。彼女は一見他の人と変わりなく見えるが、実際には君と同じように意識を持った一人の人間なんだ。」
何ということか。ヒュウもpocketの外側にいた人間だったというのか。しかし、それならば、考えようによってはこの世界のヒュウは実在する本物と捕らえてもさし使いないのではなかろうか。事実、概観上はヒュウそのものでありながら、その人自身も自分がヒュウであると信じきっているのだから・・。寧ろキャラクター設定の方をマチュリクスの中の登場人物であったと書き換えればもう間違いない。ヒュウは実在する本物ということになる。しかし驚いた。人類は空を飛んだ。月面にも着陸した。挙げ句の果てに(おれにとっての最大の夢である)空想上の人物を実在させてしまうとは・・。
だが、これははたして正しい行ないといえるのであろうか。一人の人間をずっと仮想の世界に住まわせるなどとは。どうやらそのことについては相当込み入った理由があるらしい。
山杉はいよいよこの世界が誕生するまでの全貌を明らかにし始めた。

山杉の話によると、山杉とその仲間たちがこの装置の開発に成功したのは今から11年も前にさかのぼる。そう、11年前からもう既に山杉達はこのゲームのハード面である機械の開発に成功していたのだ。だが、にも関わらず、当時の山杉達はそのハードに対応するソフトの開発には手間取っていた。とうのも、この機械に対応するソフトの開発には、自分たちの作ったプログラムの正誤を確認するためのテストプレーがたびたび必要になるのだが。このテストプレーというのが曲者で、従来のゲームと比べると大変面倒なものなのである。従来のゲームの場合、機械のスイッチを押して画面に目を向ければすぐにでもゲームが始まる。だが、この新しい機械の場合、ゲームを始めるには一時的にプレーヤーの意識を飛ばさなければならない。いうなれば気絶させるのである。健康面を考慮すると、あまり頻繁にはテストプレーヤーをゲームの世界に突入させたり戻したりすることができない。
(しかしテストプレーはたびたび必要だ。)
いっそ誰かがずっとこのゲームの世界に住み着いてくれれば、と山杉が考えていた時期、このゲームの噂を聞きつけたある少女の母親から手紙が届いた。

手紙の内容によると、送り主の母親には年頃にして10才になる娘がいるらしい。だが、この娘は一ヶ月前に自転車による交通事故によって意識不明の状態にあるのだという。彼女は医学的には脳死と判断させられている。厳密にいえば大脳の部分のみが機能しないことから生じる脳死である。だがしかし、この娘の場合、例えば仮想映像( 網膜を介さず脳に直接情報を送り鑑賞する映像)のようなものを見せようとする場合には、決まって大脳が脳内に送られた微弱な電気信号に反応し、流された映像を認識するのだという。原理はこれとほぼ同様である山杉のゲームに於いても同じようなことが言えるであろう。つまりこの少女は仮想現実の世界に於いてのみ意識をもって生きる事のできる人間なのだ。さらに、この娘はポポロクロイス物語がとても好きであったらしく、事故に遭うまではずっとヒュウにあこがれていたのだという。そこで母親は娘の夢を現実のものにしてあげようと思い立ったのだ。そして山杉はそれにこたえた。
まず山杉は「風族の世界」という、登場人物は風族数名のみの簡略なソフトを作る。そしてその世界に、生まれたばかりの赤ん坊のヒュウ、という設定で少女の人生を再スタートさせた。その少女が風族の世界での人生を送りながら、山杉はその少女からテストプレーによるゲームのデータ収集することができた。そして10年後、今から一年前にやっとのことでソフトポポロクロイス物語が完成。と同時に山杉は10才になる少女を完成したばかりのポポロクロイスへ送り、アニメと同じ体験をさせる。その後少女を元の風族の世界に戻し、一年後、今度はポポロクロイスを五年後の設定に変更して少女とおれを送り込んだ、というのが山杉による告白の全てであった。
おれはこの事実を知って様々な感情が頭をよぎった。少女への哀れみ、山杉への多少のわだかまり、だが不謹慎にも本物のヒュウに出会えたことへの喜びがそれらの感情を上回っていた。
おれはさらにヒュウに執着し始めた。

※「告白」・・ここは特に突っ込まれたくないところです・・。


13救済の旅
突入三日目朝
(ん?ここは・・。そうか昨日風族の辺についてテントの中で寝たんだっけ。でも皆がいないな・・。)
先日山杉の告白を聞いた後の夜はなかなか寝付くことができなかった。そのためおれは今朝寝過ごしてしまったらしい。テントの外では旅の相談をしているのか、皆の声がガヤガヤと聞こえてくる。おれはしばらくボーっとしていると、不意にテントの入り口の布がめくられた。強い日差しが目に飛び込むと同時にヒュウが姿を現した。
ヒュウ「まだ寝てたの・。」
ヒュウの目線はおれに注がれている。
おれの目線はヒュウの手前の地面に注がれていた。
おれは“あー”とも“うー”ともいえないようなうなり声で返事をした。
ヒュウ「早く起きなさいっていってたわよ。」
それだけいうと入り口から姿を消した。寝起きの気分が一気に消し飛び気分が高揚し始める。そっけない態度に疑問を感じながらも、おれはいい気分になったのでテントからでて湖まで向かった。湖で深呼吸をする。見ると湖にはヨットぐらいの大きさの小船が一隻浮かんでいた。
目付け頭「起きましたか。」
「あ、ああ」
昨日のことが頭をよぎる。
(だがまあ、今は考えないよう。)
目付け頭「旅の用意は整っていますのでいつでも出発できますよ。」
そうゆうと目付け頭は視線を小船の方へ向けた。
「この船で行くんですか?」
目付け頭「はい、ペストドラゴンが住んでいる山岳地帯まではこの湖から川を下ればすぐに着きますので。」
(川下りか・・。それもいいな・・。)

朝食をとった後いよいよ出発することとなった。おれ達四人は出発する為に船に乗り込む。ヒュウに続いてストンとサンダも小船に乗り込む。
「あれ?・・来るの?」
ストン「当たり前だ!お前はヒュウ様をいつもジロジロ見るから心配なんだよ!」
(そうゆうことを大声でいう・・。)

小船は風族の皆に見送られながら順調に進みだした。
ストン「それにしてもオイラはお前みたいなのが預言に記された救済者の一人とはどうも信じられない。なんでも神族の血を引いているらしいなぁ、お前。」
ヒュウ「神族の血?あなた神族の血を引いてるの?」
「あ、ああ」
ストン「ふん、どうせ神族の中でもたいしたことないんじゃないのか?」
ナルシア「でも、目付け頭さんは各種族の強力な血を受け継ぐものが救済者として選ばれるっていっていたわよ。」
ヒュウ「ふ〜ん。」
(そういってヒュウは意外そうな表情をおれに向けた。まあ無理もない、おれ自信もこの世界で果たして自分が何者なのかがはっきりしていないのだから・・。だがおれが神族であるということでヒュウに少しは好印象与えたに違いない。)
おれ達の船は今まで湖上を北に進んでいたのだが、しばらくすると船は周りを谷で囲まれた湖から、流れは少し急だが眺めの良い爽快な川を進み始めた。空には大きな紅の鳥が飛んでいるのが目に映る。
ナルシア「いい眺めね。」
ピエトロ「うん。あ、あれがペストドラゴンの住む洞窟なんじゃないかな。」
ピエトロの示す方向に目を向けると遠くに巨大な洞窟らしきものが見えた。
ヒュウ「この川を下まで下って西へ向かえば着くんじゃない?」
ピエトロ「そうだね。」
おれ達はヒュウの言葉どおり川の下流まで下った後、船を降り西へ向かって歩きだした。

14ペストドラゴン
船から降りた後は高さ100メートルもあるであろう巨大な洞窟を目指して歩けばよいので、道に迷ったりすることなくスムーズに進むことができた。一時間も歩き続けると目的の洞窟に到着した。
ピエトロ「大きい・・。」
確かに洞窟は巨大であった。おれ達は覚悟を決めて中へ足を踏み入れる。
中に入ってしばらく進むと壁にぶち当たった。
「あれ?これ以上は進めないなぁ」
ストン「なんだよ、これ以上は進めないじゃないか!どうなってんだ!?」
そういってストンは壁の方に近き、何か仕掛けはありやしないかと詳しく調べ始める。
ナルシア「おかしいわね。」
ヒュウ「洞窟を間違えたんじゃない?」
「そんなはずはないんだが・・。」
ストン・サンダ「あ゙〜!」
・ ・ ・ ・ ・!?・ ・ ・ ・ ・ ・
ヒュウ「どうしたのストン、サンダ!?」
サンダ「ヒュウ様〜!壁が何かもの凄い勢いで動き始めました〜!」
(何!もしや!)
「みんな!とにかく洞窟の外へ出よう!」
おれ達は走りに走って洞窟の外へ飛び出した。
ストン「遅いぞ!サンダ!」
ヒュウ「ああ・ ・ ・!」
洞窟の方へ目を向けると、中から20メートルはゆうに超えるであろう巨大な黒い竜が姿を現した。おそらくペストドラゴンだ。おれ達はそのあまりの巨大さゆえにこの竜を洞窟の壁か何かと勘違いしていたようだ。
ストン「でっででででででどうすんだよ!」
「救済するんだろ。」
竜はこちらを睨み、いきなり炎を吐いてきた。
ストン「うわぁ〜!」
皆は間一髪で炎を避けたが・・、これはまずい。
「救済の方法って、具体的にどうすればいいのかイルスの預言書とかに書かれてなかったのか?」
ストン「知るか!とにかく選ばれし四人によって奇跡が起きるんだとよ!」
(奇跡か・・)
「このままでは埒があかない。どうやらこの竜には話が通じないようだ・・。ある程度まで弱らした後で救済するしかない。」
ピエトロ「・ ・ ・ ・ ・。」
(ピエトロは戸惑った表情を見せる。大地の竜のことを思い出しているのだろう。)
ストン「やい!そんなにゆうならお前が戦ってみせろ!」
(う・・。よし!)
「うぉーーーーーー!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・!!ドカ!!
おれは竜が振ったしっぽにあたり見事に吹き飛ばされる。
ストン「何ーーーーーー!あ〜・・ちょっとは期待したオイラが馬鹿だったか・・。」
ヒュウ「・・行くわよピエトロ、ナルシア」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
おれは吹き飛ばされたショックでしばらくは動けなかった。見るとヒュウ達がペストドラゴンと戦っている。だいぶ苦戦しているようだ。
(よし!おれも!次こそ・・。)
おれはペストドラゴンへ向けて再度走り始めた。
ヒュウ「!!」
ヒュウはペストドラゴンの起こした風で地面に倒される。と同時に竜がヒュウ目掛けて炎を吐く。ヒュウは地面に倒れた拍子に足を挫いたのであろうか、その場から動くことができないらしい。炎がヒュウ目掛けてとんでゆく。おれはすかさず走る方向を変えた。
(っく!間に合えー!)
間に合わない。そう思ったとき、おれの全身が光始めた。その光に共鳴するかのように他の三人の体も光始める。三人の光はおれに向かって吸い込まれていく。
・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・カッ!!・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

※機会の別名をpocketにしたのは、実はある歌詞に合わせたかったからです。


15ホーリードラゴン
ストン「ヒュウ様〜!大丈夫ですか〜!」
ヒュウ「う、あ、あれ!?・・何ともないわ。どうして・ ・ ・。あ!」
ナルシア「りゅ、竜よ、竜だわ!白い竜がヒュウの前に・・。」
ストン「あの竜がヒュウ様をかばったってのか!?」
サンダ「白い竜と黒い竜だよストン。あー!白い方の竜がなんか光始めたよ。」
ピエトロ「白い竜の光がペストドラゴンを包み始めている・・。」
ナルシア「邪心を取り除いているんだわ・・。」
ペストドラゴン「ヴーーーーーーー!」
ペストドラゴン「!!・ ・ ・ ・ ・ 」
ホーリードラゴン「・ ・ ・ ・ ・ ・」
ヒュウ「ペストドラゴンが・・ホーリードラゴンに変わった・・。」
サンダ「あー!また白い竜が光始めたよストン!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・カッ!!・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
おれはどうしたのだろうか・・ヒュウに向かって駆けていった所までは覚えているのだが。
ナルシア「あ!ハクだわ!」
ピエトロ「ほんとだ!」
ストン「おいおい、白い竜が消えたと思ったら今度はあの白い野郎が現れたぞ。これってもしかして・・。」
ナルシア「大丈夫、ハク。」
「あ、ああ」
ピエトロ「それにしてもさっきのあの竜・・。もしかしてハクが呼んだの?それとも・・。」
ストン「おい!お前!確か神族だったよな!どうゆうことなんだよ!」
(なんだ!?なんだ!?)

ホーリードラゴン「あなたは・・神竜でいらっしゃいますね・・。」
ストン「わぁ!口をきいた!・・って何だって!こいつが神竜だって!?」
サンダ「ねぇストン、神竜って何?もしかして老竜神のことぉ?」
ストン「ばかサンダ!老竜神の「神」ってのはいわば竜族の中での位を示す「神」なんだよ!だけど神竜の「神」は種族の「神」!つまりヤツは神と竜族のハーフってことだ!わかったか!」
サンダ「ん〜・・でも、それがどうして凄いのさ〜?」
ストン「っか〜!いいか、竜族と人族の子であるあのピエトロ王子でさえ混血の力によってもんのすごい力を秘めているじゃないか!それが神族と竜族の間だったどうなる!知と力を兼ね備えた最強の生物が誕生することになるんだぞー!」
サンダ「へー。」
ストン「もしこの生物がペストドラゴンのように心を闇に魅入られたりでもしたら、それこそ世界は滅亡する。だから神竜はやたらにその存在を許されていないはずなんだ。スゲー珍しいんだぞー!」
サンダ「ふ〜ん、凄いんだ〜。でもストンはあんまりハクのこと敬ってないよね。」
ストン「うるさぃ!」

おれもストンの説明を聞いてやっとここの世界で自分が何者なのかが判明した。それにしてもそんなに凄いヤツだったのか・・おれは。どうやらおれが神竜に戻れるようになったのもピエトロ達の力が合わさったおかげらしい。まあ、つまり全ては奇跡で丸く収まった、ということか・・。
ホーリードラゴンはおれにうやうやしく礼を述べると、帰りは自分の背中に乗って帰る様に促した。おれ達はホーリードラゴンに乗って風の谷ヘ向い、救済に成功したことを目付け頭に伝えた。
目付け頭「そうですか。救済することができましたか。それでは我々も役目を終えましてのでまた旅にでなくては。」
ヒュウの顔色が何処となく暗い。
目付け頭「・・ヒュウ様。旅は明日にします。明日の昼までには帰ってきて下さい。」
ヒュウ「・ ・ ・ ・!!」
ストン「よかったですね〜。ヒュウ様。」

16最後の晩餐
ポポロクロイス城ではホーリードラゴンを救済したおれ達を祝うためのパーティーが開かれた。パーティー会場の大広間は城の多くの人で賑わっている。テーブルの上にはたくさんのおいしそうな料理が並べられている。ストンとサンダは人の間をすり抜け料理へ食らいついていった。おれも特に良さそうなのを選んで皿に移した。おれは椅子に座らず壁によりかかって料理を食べる。すると意外にもヒュウがおれの方に近づいて来た。
ヒュウ「あなたって見かけによらず凄いのね。」
「あ、ああ。」
ヒュウ「ねぇ・・。あなた竜になれるんでしょう。だったら明日私を風の谷まで連れて来なさいよ。あなたに乗っていった方が楽だもの。」
「え?」
ヒュウ「・・別にいいのよ。いやなら。」
「えっと、わかった、いいよ。」
おれは嘘をついてしまった。山杉によると今夜おれは現実世界に戻らなければならない。
夜もさらに深まるとパーティーは終わり、おれ達はピエトロの部屋でしばらく話し合った。話も終えナルシアとヒュウは王の部屋おくの寝室へ向う。おれはピエトロの部屋で寝ることになった。
ナルシア「それじゃあおやすみピエトロ、ハク。」
ヒュウ「おやすみ、ハク、ピエトロ。」
ピエトロ「うん、おやすみ。」
おれはベッドに横たわる。
(さようなら・・みんな・・。)

※今日偶然神竜がポポロクロイスUでも実際いることに気がつきました。あわてて文章を少し書き換えました。


 再会のヒュウ
・ ・ ・ ・ ・ ・
目を開けると濃い色が目に刺すように飛び込んで来る。ずっとアニメ絵の世界にいたので現実の景色に目が馴れていないのだろう。しばらくすると目の前に山杉がいることをかろうじて認識できた。なんだか違和感が残る。
山杉「やあ。戻って来たんだね。」

現実世界に戻るとすぐにおれは食事を取った。考えてみれば3日も食事をしていなかったのだ、腹が空いてしょうがない。おれは三日分の食料を勢いよく平らげた。その後いくつかの精密検査をした後でおれは家に返された。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
(なんだか体が重いなぁ)
おれは現実世界へ戻って一週間ぐらいは何もする気が起こらなかった。ただずっと部屋で寝続けた。どうやら今のおれは仮想体験をした者特有のhyper depression(過鬱症)という症状にあるらしい。今日も部屋の中でヒュウ達の事をとめどなく考えていると電話がなった。
プルルル、プルルル
(電話か・・。)
ガチャ
「はい。もしもし。」
山杉「君かい?実は頼みたい事があるんだ。」
「え?」
山杉「彼女に会って欲しい。」

病院
総合病院であろう大きな建物の前でタクシーは停止した。
(ここか・・。)
おれは彼女と会うことになった。どうやら少女の母親の強い願いらしい。おれ自信は会いたいのか会いたくないのかよくわからない。複雑な気持でいた。
(301号特別介護室・・。ここか。)
みると20代前半の女性がpocketの帽子を被って横たわっている。10才から人生を再スタートさせたので仮想世界とは10年分の誤差があるのだろう。
おれはただ何も考えずにベッドの横に置かれている椅子に腰をかけた。
彼女の手を取ると自分の額に彼女の手の甲を押し当て、夕暮れまでしばらくずっとそうしていた。





・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
(ここは・・ポポロクロイス城)

ピエトロ「やあ、おはよう。昨日は良く眠れた?」

「え・・。」

ピエトロ「ナルシアは今大広間で食事を取っているよ。」

「そう・・。」

(昨日は・・ポポロクロイス城でパーティーがあって・・)

!!

「ねえ。ハクはどこ。」

ピエトロ「・・ハクは・・今朝起きたらもういなかった・・。きっとど
こか旅にでたんだと思う。」

「・・そう。」

ピエトロ「でも大丈夫だよ。きっとまた会えるよ。」

「う・・うん。・・。」

ヒュウは青空を見上げた。

ポケットの中も青い空が広がっている。